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2025.09.30

「口呼吸」していませんか!?知らず知らずのうちに潜む健康リスクと対策

1.息をするたび、健康を損なう!?無意識の習慣「口呼吸」の危険性

私たちは一日に約2万回も呼吸を繰り返していますが、その「呼吸の仕方」を意識することはあるでしょうか?

もしあなたが、睡眠中や集中しているとき、あるいは無意識のうちに口で息をしているとしたら、それは「口呼吸」という、さまざまな健康上のリスクをはらむ習慣かもしれません。

口呼吸は単に「息の仕方」だけの問題ではありません。

それは、私たちの口腔内環境、ひいては全身の健康にまで影響を及ぼす、見過ごせない生活習慣なのです。特に、歯科の観点から見ると、口呼吸は虫歯や口臭の大きな原因となり得ます。

この記事では、口呼吸がなぜ虫歯や口臭を引き起こすのか、そしてその危険な習慣から脱却するための具体的な対策について、詳しく掘り下げていきます。

2.口呼吸が虫歯・口臭を引き起こすメカニズム

「鼻呼吸」が私たち人間にとって最も理想的な呼吸法であるのに対し、口呼吸はなぜ口腔内のトラブルを招くのでしょうか?そのメカニズムは、主に「唾液の減少」と「細菌の増殖」という二つの要素に集約されます。

2-1. 致命的な乾燥:唾液の持つ「自浄作用」の消失

まず、口呼吸の最も大きな問題は、口腔内が極度に乾燥すること、つまり「ドライマウス」を引き起こすことです。

鼻で呼吸すると、空気は鼻腔を通る際に適度に加湿・加温されますが、口で直接息を吸い込むと、乾燥した外気が口の中を直撃します。これにより、口の中の水分、特に唾液(だえき)が蒸発しやすくなります。

唾液は単なる水分ではありません。口腔内の健康を守る「天然の万能薬」です。

  1. 自浄作用(洗い流す力): 食べかすやプラークを洗い流し、細菌の定着を防ぐ。
  2. 緩衝作用(中和する力): 虫歯菌が出す酸を中和し、歯が溶けるのを防ぐ。
  3. 再石灰化作用(修復する力): 溶け始めた歯の表面にミネラルを戻し、修復する。
  4. 抗菌作用(殺菌する力): 細菌の増殖を抑制する。

口呼吸によって唾液が減ると、これらの強力な作用が一気に低下します。

特に自浄作用緩衝作用の低下は深刻で、細菌が繁殖しやすい状態が長時間続くことになり、結果として虫歯リスクが飛躍的に高まるのです。

2-2. 悪臭の源:嫌気性細菌と口臭の増悪

口呼吸は、虫歯だけでなく口臭(こうしゅう)の最も直接的な原因の一つにもなります。これもまた、唾液の減少と、それに伴う細菌の異常繁殖が関わっています。

唾液の抗菌作用が弱まると、口の中で「嫌気性細菌(けんきせいさいきん)」と呼ばれる、酸素を嫌う種類の細菌が活発に活動し始めます。これらの細菌は、口の中に残ったタンパク質(食べかすや剥がれた粘膜など)を分解する際に、揮発性硫黄化合物(VSC)という、腐った卵や生ゴミのような強烈なニオイのガスを発生させます。これが「生理的口臭」の主な原因です。

さらに、口呼吸で口が乾燥すると、舌の表面にある舌苔(ぜったい)(白いコケ状のもの)が溜まりやすくなります。この舌苔こそが嫌気性細菌にとって格好の棲み処であり、ニオイの発生源となります。

3. 口呼吸が招くその他の全身トラブル

口呼吸の悪影響は、口腔内だけに留まりません。空気の通り道である鼻のフィルター機能を迂回するため、さまざまな健康問題を引き起こします。

3-1. 感染症リスクの上昇

鼻呼吸では、鼻毛や鼻粘膜が空気中のウイルス、細菌、花粉、ホコリなどをキャッチし、肺へ送り込む前に取り除きます。

また、鼻腔を通ることで空気が加温・加湿されます。しかし、口呼吸ではこれら全ての「防御システム」を素通りさせ、乾燥した冷たい空気が直接、喉や気管、肺に入り込みます。

結果として、風邪、インフルエンザ、アレルギー、扁桃炎といった感染症や炎症のリスクが大幅に高まります。

3-2. 歯並びや顔つきへの影響

口呼吸は、口の周りの筋肉(口輪筋やオトガイ筋)を弛緩させ、舌が低い位置にある「低位舌(ていいぜつ)」を引き起こします。

舌は歯列の内側から外側へ押す力をかけ、そのバランスで歯並びが形成されますが、舌の位置が低いと、内側からの力が弱くなり、代わりに頬の筋肉が強く働きすぎます。これにより、出っ歯(上顎前突)や歯並びの乱れ、さらには顔の輪郭(アデノイド顔貌)にまで影響を及ぼすことがあります。

4. 今日からできる!口呼吸を鼻呼吸に変える実践的な対策

口呼吸を治すことは、虫歯・口臭対策はもちろん、全身の健康を守るための最も効果的なステップの一つです。自覚がない方も含め、ぜひ以下の対策を試してみてください。

4-1. 意識的な「舌の位置」トレーニング

理想的な鼻呼吸のためには、舌が正しい位置にあることが必須です。鏡を見て、口を閉じた状態で舌を意識的に「上顎(口の天井)にピタッと密着させる」訓練をしましょう。この正しい舌の位置は、鼻呼吸を自然に促し、口周りの筋肉を鍛えることにもつながります。

4-2. 睡眠中の「口閉じ」対策

就寝中は無意識になるため、口呼吸になりやすい時間帯です。

  • 「マウステープ」の活用: 医療用のテープ(ドラッグストアなどで購入可能)で、口を軽く塞いで寝る方法です。鼻呼吸を強制的に促す効果があります。ただし、鼻炎などで鼻が完全に詰まっている場合は危険なので、医師に相談の上、慎重に行いましょう。
  • 寝姿勢の工夫: 仰向けで寝ると舌が喉奥に落ち込み、口呼吸になりやすいため、横向きで寝ることも有効です。ただし、顎関節症を誘発する場合もあるので注意が必要です。

4-3. 鼻呼吸をサポートする「鼻のケア」

鼻炎、アレルギー、副鼻腔炎などで鼻が慢性的に詰まっていると、必然的に口呼吸になります。

  • 鼻うがい(鼻洗浄): 定期的に生理食塩水などで鼻の奥を洗い、鼻腔の通りを良くする。
  • アレルギー・鼻炎の治療: 根本原因がある場合は、耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けましょう。

4-4. 「あいうべ体操」で口周りの筋肉を強化

福岡県の歯科医が考案した、舌と口周りの筋肉を鍛える簡単なトレーニングです。

  1. 「あ」と口を大きく開く
  2. 「い」と口を横に大きく広げる
  3. 「う」と口を前に突き出す
  4. 「べ」と舌を下に大きく突き出す

これを1セットとし、一日に30セット程度を目安に続けることで、正しい舌の位置口を閉じる力が鍛えられます。

5. まとめ:健康は「呼吸」から見直そう

口呼吸は、現代人にとって非常にポピュラーな習慣ですが、そのリスクは無視できません。虫歯、口臭、感染症、そして歯並びと、様々な不調の引き金になります。

もしあなたが、朝起きたときに喉が乾燥している、口臭が気になる、虫歯が多い、といった悩みを抱えているなら、それは口呼吸のサインかもしれません。

今日から意識して「鼻呼吸」を心がけ、正しい舌の位置をキープするトレーニングを始めましょう。息一つで、あなたの健康は大きく変わります。

また、口呼吸をよくしてしまう人は定期的に歯科医院で検診を受けるようにしましょう。知らず知らずのうちに虫歯が進行しているかもしれません。

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