



「口呼吸」していませんか!?知らず知らずのうちに潜む健康リスクと対策
私たちは一日に約2万回も呼吸を繰り返していますが、その「呼吸の仕方」を意識することはあるでしょうか?
もしあなたが、睡眠中や集中しているとき、あるいは無意識のうちに口で息をしているとしたら、それは「口呼吸」という、さまざまな健康上のリスクをはらむ習慣かもしれません。
口呼吸は単に「息の仕方」だけの問題ではありません。
それは、私たちの口腔内環境、ひいては全身の健康にまで影響を及ぼす、見過ごせない生活習慣なのです。特に、歯科の観点から見ると、口呼吸は虫歯や口臭の大きな原因となり得ます。
この記事では、口呼吸がなぜ虫歯や口臭を引き起こすのか、そしてその危険な習慣から脱却するための具体的な対策について、詳しく掘り下げていきます。
「鼻呼吸」が私たち人間にとって最も理想的な呼吸法であるのに対し、口呼吸はなぜ口腔内のトラブルを招くのでしょうか?そのメカニズムは、主に「唾液の減少」と「細菌の増殖」という二つの要素に集約されます。
まず、口呼吸の最も大きな問題は、口腔内が極度に乾燥すること、つまり「ドライマウス」を引き起こすことです。
鼻で呼吸すると、空気は鼻腔を通る際に適度に加湿・加温されますが、口で直接息を吸い込むと、乾燥した外気が口の中を直撃します。これにより、口の中の水分、特に唾液(だえき)が蒸発しやすくなります。
唾液は単なる水分ではありません。口腔内の健康を守る「天然の万能薬」です。
口呼吸によって唾液が減ると、これらの強力な作用が一気に低下します。
特に自浄作用と緩衝作用の低下は深刻で、細菌が繁殖しやすい状態が長時間続くことになり、結果として虫歯リスクが飛躍的に高まるのです。
口呼吸は、虫歯だけでなく口臭(こうしゅう)の最も直接的な原因の一つにもなります。これもまた、唾液の減少と、それに伴う細菌の異常繁殖が関わっています。
唾液の抗菌作用が弱まると、口の中で「嫌気性細菌(けんきせいさいきん)」と呼ばれる、酸素を嫌う種類の細菌が活発に活動し始めます。これらの細菌は、口の中に残ったタンパク質(食べかすや剥がれた粘膜など)を分解する際に、揮発性硫黄化合物(VSC)という、腐った卵や生ゴミのような強烈なニオイのガスを発生させます。これが「生理的口臭」の主な原因です。
さらに、口呼吸で口が乾燥すると、舌の表面にある舌苔(ぜったい)(白いコケ状のもの)が溜まりやすくなります。この舌苔こそが嫌気性細菌にとって格好の棲み処であり、ニオイの発生源となります。

口呼吸の悪影響は、口腔内だけに留まりません。空気の通り道である鼻のフィルター機能を迂回するため、さまざまな健康問題を引き起こします。
鼻呼吸では、鼻毛や鼻粘膜が空気中のウイルス、細菌、花粉、ホコリなどをキャッチし、肺へ送り込む前に取り除きます。
また、鼻腔を通ることで空気が加温・加湿されます。しかし、口呼吸ではこれら全ての「防御システム」を素通りさせ、乾燥した冷たい空気が直接、喉や気管、肺に入り込みます。
結果として、風邪、インフルエンザ、アレルギー、扁桃炎といった感染症や炎症のリスクが大幅に高まります。
口呼吸は、口の周りの筋肉(口輪筋やオトガイ筋)を弛緩させ、舌が低い位置にある「低位舌(ていいぜつ)」を引き起こします。
舌は歯列の内側から外側へ押す力をかけ、そのバランスで歯並びが形成されますが、舌の位置が低いと、内側からの力が弱くなり、代わりに頬の筋肉が強く働きすぎます。これにより、出っ歯(上顎前突)や歯並びの乱れ、さらには顔の輪郭(アデノイド顔貌)にまで影響を及ぼすことがあります。
口呼吸を治すことは、虫歯・口臭対策はもちろん、全身の健康を守るための最も効果的なステップの一つです。自覚がない方も含め、ぜひ以下の対策を試してみてください。
理想的な鼻呼吸のためには、舌が正しい位置にあることが必須です。鏡を見て、口を閉じた状態で舌を意識的に「上顎(口の天井)にピタッと密着させる」訓練をしましょう。この正しい舌の位置は、鼻呼吸を自然に促し、口周りの筋肉を鍛えることにもつながります。
就寝中は無意識になるため、口呼吸になりやすい時間帯です。
鼻炎、アレルギー、副鼻腔炎などで鼻が慢性的に詰まっていると、必然的に口呼吸になります。
福岡県の歯科医が考案した、舌と口周りの筋肉を鍛える簡単なトレーニングです。
これを1セットとし、一日に30セット程度を目安に続けることで、正しい舌の位置と口を閉じる力が鍛えられます。

口呼吸は、現代人にとって非常にポピュラーな習慣ですが、そのリスクは無視できません。虫歯、口臭、感染症、そして歯並びと、様々な不調の引き金になります。
もしあなたが、朝起きたときに喉が乾燥している、口臭が気になる、虫歯が多い、といった悩みを抱えているなら、それは口呼吸のサインかもしれません。
今日から意識して「鼻呼吸」を心がけ、正しい舌の位置をキープするトレーニングを始めましょう。息一つで、あなたの健康は大きく変わります。
また、口呼吸をよくしてしまう人は定期的に歯科医院で検診を受けるようにしましょう。知らず知らずのうちに虫歯が進行しているかもしれません。
当院では、患者様の歯の状態をしっかりとチェックし最適な治療法を実施いたします。
長堀鶴見緑地線横堤駅から徒歩4分と通いやすい立地に当院はございます。是非ご来院ください。
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